開業医の引退失敗ストーリー

今日は、医療法人クリニック院長の先生方には

引退時の失敗ストーリーを見て

なぜそうなったのか考えていただきたいと思います。

医療法人のクリニック院長のA先生には、

医師である長男Bと、その妹である長女Cがいます。
長男がA先生と同じ診療科目を選択したため、ゆくゆくは、自分の後を継いでくれるのではないかと期待していました。

長男が帰省する都度、自分のクリニックを継ぐのか聞いていましたが、長男からは、跡を継ぐことは考えていない訳ではないが、日々の勤務や子育てなどの生活に追われ、考える時間がないとのことでした。

A先生は、それでも諦めきれずに、ずっと長男の気持ちが変わるのを待っていました。
しばらく月日が経ち・・・・・

気が付くとA先生は77歳、長男Bは45歳になっていました。

あるとき、長男から

「現在の勤務先を退職して、開業することにした。

でも、申し訳ないけど、父さんのクリニックは、来院患者数がだいぶ減っているので、これからの生活を考えると、他の場所で開業したい」と言われてしまいました。
もちろん、A先生は、長男が自分の後を継いでくれるという保証はないのは、わかっていました。

このような経緯で、A先生のクリニックは、A先生の引退と同時に廃止することになってしまいました。

10年位前であれば、他の先生からクリニックを、

3,000万円で売ってくれないかといったような話も

あったのですが、今となってはそんなことはできません

お金を貰えるどころか

廃業費用として400万円がかかってしまいました。

また、A先生は、相続が心配だったため、

会計事務所のアドバイスに基づき

長男Bが自分の後を継ぐものと考えて、

クリニックの土地・建物などめぼしい不動産を

長男Bに移しつつあります。

残った預貯金は、長女Cに渡そうと考えていますが、

事業を継承しないにもかかわらず

長男Bに渡った財産の割合があまりにも多いので、

将来、兄弟で揉めないか心配です。

相続では、相続財産のうち、

不動産の割合が大きいと

特定の相続人に対して、配分額が偏ることになるため、

争いが起きやすいのです。

長女Cには、長男Bがクリニックを承継するから

事業に係る財産は長男Bが承継すると話してきましたが

状況が一変してしまいました。

かといって、

A先生は現段階でまとまった資金が少なく、

長女Cのためにできることは多くありません。

いかがでしょうか?

実際の話を少し加工させていただきました。

クリニックの場合には引退を見据えたとき、

夫婦の生活資金を確保するという観点だけでなく、

クリニックや患者さんを承継するかどうかの点が、

セットになってきます。

さらには、承継するか否かが、相続対策(争族対策)に連動します。

だから難しいのです。

この話は、いろいろな反省点がありますが、
一番大きい問題は、

結論を先送りにして
基本方針を決めないまま
長い時間を場渡り的に
過ごしてしまったことです。

もし、早く決断する時点を決めていれば・・・・

基本方針を決めていれば・・・・・

その時点で長男を継がせることはあきらめ
他のドクターにクリニックを売却して
数千万円の現金を手にしていたかもしれません。

また、長男に多くの財産を渡してしまい

兄弟喧嘩の種を蒔くこともなかったかもしれません。

よろしいでしょうか?

前回ブログに書きましたが

開業医が60歳を超えたタイミングから

このような問題を回避するために

頼りになり、コーディネーターとして動いてくれるのは

力のある会計事務所だけなのです。

結論を先延ばしにせずに

信頼できる会計事務所と

定期的に、その時最善だと思える対応が行えていたら

回避できていた事案です。

顧問の会計事務所に決算の打ち合わせで

「売上が下がってきていますから、とりあえず役員報酬さげましょうか」

「昨年から〇〇円売上が減少していますね」

などと言われて、

打ち合わせが終わっていたら大変なことです。

また、今回の事案のように

基本方針が確定しないまま

中途半端に子供に財産を移転するような

アドバイスを受け、実施していたら大変なことです。

先生の顧問会計事務所は大丈夫でしょうか?

幸せな引退生活を送るためにも

良い税理士・良い会計事務所と出会うことを祈っています。

経理サポート会計事務所で一緒に働きたい方、業務を依頼したい方、その他当事務所と接点を持ちたい方、是非ご連絡ください。