リスクの確率を下げるのが税理士の仕事

東京地裁令和2年2月19日判決では、

創業者の退職給与額の妥当性が争われていましたが

納税者敗訴の結果となりました。

これは、原告であるA社が

創業社長の退職金の算定に際して

月額報酬110万円、勤続年数34年、

功績倍率8.00倍で計算した退職金である

2億9,920万円を支給したところ、

国が算出した同業類似法人の

平均倍率1.06で計算した金額を超える

2億5,955万6,000円が

不相応に高額な部分の金額とされた

ということです。

要するに、退職金支給額の80%以上が

否認されたということです

税務上の適正役員退職金は

最終月額報酬×勤続年数×平均功績倍率

で、計算され、過大でなければ

損金の額に算入が可能となっています。

(法人税基本通達9-2-27の2)

この平均功績倍率は、専門家の間では、

一般的に3倍程度が妥当と言われることが

多かったのです。

それが、今回の裁判では、1.06ということに

なってしまったんですね。。。

ここで、感じたのは、税理士は

勝負どころでは、リスクを考えて

負けない勝負をしなければいけない

ということです。

特に退職は、税額に

すさまじい影響を与える場面です。

仮にここで負けると、

立ち直れないほどの負けの結果になります。

再起不能です。

そもそも倍率8倍というのは、

そうする理屈はあるにしても

いくらなんでもやり過ぎです。

退職金として2億9,920万円支払うにしても

最終月額報酬をもっと高くして

調整できなかったのでしょうか?

時間がなかったんでしょうか?

私は、判例を読み、租税法を勉強するのは

勉強して知識を試すためではなく、

負けてはいけない場面で負けないために

勉強しているつもりです。

負けてはいけない場面で、

決して自分の力を試してはいけない。

リスクの確率を限りなく下げるのが、

税理士の仕事だと思っています。

経理サポート会計事務所で一緒に働きたい方、業務を依頼したい方、その他当事務所と接点を持ちたい方、是非ご連絡ください。