社会福祉法人の会計基準は
大変複雑でややこしく、開示も複雑なため、
運用に多くのコストがかかります。
でも、今日言いたいのは、そういうことではなくて、
これが、きっかけで、
実質的なオーナーがいる一部の社会福祉法人が、
大変な状況を迎えると思っています。
社会福祉法人は、ルーツがあり、それらは
① 個人の寄付により、設立されたもので、
オーナー色が強い法人
② 親の会などが母体となって設立されたもので、
公益性が高い法人
③ 社会福祉協議会など、
ほぼ公共団体と同等の性格を持った法人
に大別されます。
① の性格の社会福祉法人のもともとの設立動機は
自身や親族が保育園や介護施設を経営するにあたり
一族の働く場所を作るために、
社会福祉法人という形態を選んだというものです。
その①の中には、土地を寄付して法人設立しており、
できれば、高額な土地を寄付したし
できれば社福から親族に法人から利益移転させたいな
なんて思っている人がいたりする訳です。
そういう人たちは、同族会社との取引を利用して
利益移転を画策しています。
私は、そろそろ、市区町村の担当者が
社会福祉法人監査に慣れてくることなので
こういった法人が、
大変な状況な局面を迎えると思っています。
社会福祉法人会計基準では、法人全体注記として
関連当事者との取引を開示するように求めています。
そのため、市区町村が真剣に監査をするようになれば
記載不備があったとしても、すぐに指導され
同族会社との取引が表面化します。
これが、なぜ、大変なことを起こすのか
わかりますか?
何故かというと、
こういった社会福祉法人では、
設立の際に土地を寄付して
譲渡所得税の課税を受けることなく、
猶予されています(措置法40条)。
土地を寄付すると課税??
ビックリする方もいるかもしれませんが
日本の所得税は、
土地の取得費と時価との差額を所得と考えるので
昔から持っていた土地を寄付した場合、
多額の所得税が課税されます。
それが、公益法人への寄付等の一定の要件下で
猶予されている訳です。
ところが、これはあくまで猶予であって
承認要件に該当しなくなった場合には、
国税庁長官は、その承認を取り消すことができます。
その場合には、
社会福祉法人が個人とみなされて課税されます。
その要件の一つに
寄附により、寄附をした人の所得税の負担を不当に減少させ、又は寄附をした人の親族その他これらの人と特別の関係がある人の相続税や贈与税の負担を不当に減少させる結果とならないと認められること。
というものがあるのです。
つまり、地方自治体の監査で
同族会社への取引が見つかり、開示することで
課税庁に見つかり、措置法40条が
取り消される可能性がでてきます。。
そうなった場合には、
その対象となった社会福祉法人への課税は
数億単位になるでしょう。
死活問題です。
この記事を見て
ドキッとした社会福祉法人の経営者の方は
できる限り早い運営の適正化をお勧めします。
もちろん、ご相談も承ります。
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