会社に多額の役員貸付金があるとどうなるか?

最近、相談にこられる方から

B/S上の役員貸付金を何とかできませんか。

困っているんです?

と、多く質問されています。

役員貸付金は、役員が一時的な資金が必要となり、

法人から借り入れることで発生します。

また、どこにいったか分からないような

使途不明金を役員貸付金とすることがあります。

実質的に支配権を持つ役員は、

仮に自分の会社から横領しても

給与所得になってしまいます。

(大阪高裁平成15年8月27日判決)

そのため、税務調査等で、

使途不明金が見つかった場合には、

役員貸付金として利息を徴収することで、

役員賞与と指摘されるのを回避するため

このような処理をしているケースが多いのです。

以前、会計上の帳簿残高と実際の残高が

ざっと1億円位差がある法人の社長が

俺は会社から金を借りたことがない、

税理士が勝手にやった!

などとおっしゃるのを聞いたことがあります。

(私のクライアントではありません)

これは、多額の課税を回避するための処理だと、

税理士が説明していないだけで

実際、社長やその親族が

使ったものであることが殆どです。

このような役員貸付金は、多額になった場合、

返済される見込みは殆どありません。

そうなると、とても困ったことになるので、

早い対処が必要です。

法人の側面からの問題としては、

役員賞与や使途秘匿金の認定リスクがあります。

役員貸付金が多額で回収できないのであれば、

貸倒損失を計上するという考えもありますが

法人税法は、貸倒処理をするためには、

極めて厳しい制約があります。

少なくても、会社が会社の社長への貸付金を

貸倒損失で処理するなんてことは

通常、想定できる状況では、まず無理です。

その社長の返済能力がないことが明らかでない限り

貸倒損失として処理したとしても、

税務上は認められません。

そして、社長個人には、

所得税・住民税が課税されます。

往復ビンタです!

個人の側面からの問題としては、

相続があった場合には、

相続人が、その返済義務を継承します。

また、会社清算するときに、

役員貸付金が残った場合、

解散したときに、株主にみなし配当課税が生じます。

これは、大変なことです。

例えば、解散直前に1.1億円の役員貸付金で

資本金1千万円の法人の場合、

1億円もの、みなし配当となり

株主は、約4,000万円の

所得税の納税が必要となります。

このように、多額の役員貸付金は

とっても恐ろしいものなんです。

では、役員貸付金の解消にはどうしたら良いか?

多くの場合には、

会社が元気なうちに

役員報酬を増額して、その中から返済をしていくか

退職金で相殺をしていくことになります。

そんな大変なことできないって??

でも、もっと大変なことを

後の時代に持ち越さないためには

やるしかないんですよね。

こういう話を聞くたびに、

顧問税理士が

役員貸付金が存在するので、

すぐ処理した方がいいと

もっと早くアドバイスしてあげればよかったのに・・・

と思います。

役員貸付金問題は、ほとんどが

その企業経営者の自己責任であるのは事実です。

だけど、長年見てきた顧問会計事務所は

他人事だから放っておけるのであって

自分のことだったら

放っておかないと思うんですよね。

経理サポート会計事務所で一緒に働きたい方、業務を依頼したい方、その他当事務所と接点を持ちたい方、是非ご連絡ください。