明日の経理サポート会計事務所主催の
税法勉強会のテーマは、
「同族会社の行為計算否認」です。
なぜ、同族会社の行為計算否認規程を
勉強しなければならないのかというと
税務調査において調査官から
「行為計算否認なので否認します」と
脅されることがあるからです・・・
実際怖いです・・・
同族会社の行為計算否認とは、
同族会社は、租税回避を目的とした
お手盛りによる取引が行われることに対する
否認規程です。
法の抜け道をとって、
税金逃れをするのは不公平ですが、
日本の税法は、租税法律主義に基づき
法律により税法が規定されているため、
けしからん!!という感情で
理由のない否認はできません。
このように、通常の課税要件について
解釈の限界があるところを想定して
行為計算否認は規定されています。
なお、同族会社の行為計算否認規程は、
法人税、所得税、相続税に規定されており、
消費税は、ありません。
そのため、
「令和2年度税制改正居住用賃貸建物の消費税還付スキーム封じ」
で書いたように、
消費税はやりたい放題状態です。
次に、法人税の条文を見てみます。
第132条 同族会社等の行為又は計算の否認
税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。
ちなみに実務上の重要ポイントは、
「更正又は決定をする場合において」というところです。
つまり、修正申告の理由にはならないということです。
更正処分には、当然にして理由付記が必要ですので
調査官に脅されたら、
「更正処分の理由はなんですか?」と
まず反撃してみると良いと思います。
処分するには、理由付記が必要となっており
それは、処分の「根拠・内容」ではなく、
理由附記の程度を満たす必要があります。
調査官の側も実際に処分するとなると大変なのです。
概要はこんなところですが、
実は、法人税法上の「同族会社」の範囲は
一般的なイメージの範囲よりもかなり広く
国内のほとんどの会社が該当します。
そして、税金の支払いを純粋に少なくする節税は
異なる事業体間の制度の差や
(計算方法の違いや課税非課税等)
税率差を活用して行うものなので
同族会社の行為計算否認を理解することは
とても大切です。
明日の勉強会では
・オーナー無利息貸付事件(東京地判平成9年4月25日)
・不動産会社とその役員との間の賃料について争う事案(最判平成6年6月21日)
などの他、その他国税不服審判所裁決を取り上げる予定です。
ちなみに2月、3月の勉強会は
「同族会社の行為計算否認」をテーマに
立論作成及びディベート(税務調査演習)
になります。
経理サポート会計事務所で一緒に働きたい方、業務を依頼したい方、その他当事務所と接点を持ちたい方、是非ご連絡ください。