今日は、同業者(税理士)向けの
マニアックな話です。
税法の仕事ができるようになるためには
どうしたらよいか?について
今日は、税法の仕事は、
一見、無駄だと思われるようなことを調べ、
時間をかけて遠回りしないと
できるようにならないということを書いてみます。
今日は、例えば・・・ということで
用語の「定義」について取り上げます。
税法は法律ですので、
用語の概念をしっかり認識し、仕事を進めないと
大変な失敗を招きます。
昨日のブログを読んでいただいた方については
細かいこと考えないといけないんだな・・・
と感じたのではないでしょうか。
そもそも税法で出てくる用語の定義(概念)は
考える順番(ルール)があります。
まず、各税法で定義規定がある場合には、
当然にしてそれに従います。(固有概念)
次に、税法で定義していない場合、
他の法律の定義を借りて用いる(借用概念)
ことがあります。
例えば、「住所」などは、民法概念の借用です。
そして、他の法律で決まっていない場合
一般的に使われる言葉を使うケースがあります。
例えば、「福利厚生」などです。
社会通念上・・・という話になるので、
この辺りは曖昧です。
ちなみに、租税特別措置法41条の「改築」の意義が争われた東京高裁平成14年2月28日判決では、
「税法中に用いられた用語が法文上明確に定義されておらず、他の特定の法律からの借用概念であるともいえない場合には、その用語は、特段の事情がない限り、言葉の通常の用法に従って解釈されるべきである。」としています。
また、通常は、例えば、
所得税法で用語の定義がない場合
その定義を他の税法(例えば法人税法)に
求めるということはあり得ます。
租税法という同じ趣旨の法律だから
他の税法と同様に考えるのは自然な考えです。
でも、ふわりと考えていると事故が起きます。
例えば、「なぜ、社会福祉法人の税務は難しいのか?」
の「事業」概念は、各税法の趣旨・目的が同一でないため、同じように考えられません。
消費税と所得税の「事業」の意義が争われた富山地裁平成15年5月21日判決では、
「消費税法と所得税法とは、着目する担税力や課税対象を異とするものであるから、このような性質の異なる両法の規定中に同一文言があるからといって、直ちに、それを同一に解釈すべきであるということにはならない。」としています。
なにを言いたいかというと・・・
毎年、確定申告の時期になると
会計事務所の経験の浅いスタッフが
「所得税は法人税と同じ」などと
軽く考えている場面に出くわしますが
とんでもないことです!!
日々の仕事の中でしっかり勉強して
それぞれの規程の趣旨・目的まで考えないと
いけません。
計算パターンだけ見て、
申告書にどう当てはめるかのみ考えると
頭も使わないし、疲れないし、
仕事もはかどるので効率的に思いがちですが
クライアントに大変な不利益をもたらします。
それに考え、調べ抜いて考え抜いて
本質が分かることがなぜ重要かというと
いくら計算パターンを学習しても
未経験の仕事を自分の力でできるようには
絶対にならないからです。
税法の範囲は広く、全てを経験するのは不可能です。
でも多くの人は税理士は税法がわかると思っています。
それに答えるためには
本質を勉強するしかありません。
正直、このことを20年前の自分に教えてあげたい。
そうすれば、もっともっと仕事ができるように
なっていただろうなと妄想します。
経理サポート会計事務所で一緒に働きたい方、業務を依頼したい方、その他当事務所と接点を持ちたい方、是非ご連絡ください。