社会福祉協議会の収益事業判定は要注意!!

昨日、公益法人等の収益事業課税について書いたら

なぜ、社協の事業が収益事業とされる可能性があるのか

複数の方から質問を受けましたので、

説明したいと思います。

前提として、社会福祉協議会のほとんどは、

社会福祉法人で設立されています。

社会福祉法人は、法人税法で規定する公益法人等で

収益事業のみが課税されることとなります。

まず、法人税法における

収益事業該当性の判断基準を裁判例に求めると

多くの判決でイコール・フッティング、

つまり「民間との競合可能性」について

ひとつの判断基準としていることが明らかです。

例えば、宗教法人が受け取る永代使用料の収益事業該当性が争われた東京地裁平成24年1月24日判決では、民間事業者が行う墓石の販売と競合することを理由に、社会通念に照らして物品販売業に該当すると事実認定しています。

さらに、財団法人が郵便局舎を建設し、郵政公社に提供し、受けた金員について収益事業該当性が争われた東京地裁平成22年4月22日判決では、「郵政公社に対する局舎に係る不動産の貸付けは、法令上、原告しかすることができないものとはされておらず、また、前記認定事実によれば、実際にもX以外の多数の民間人等が郵政公社に対して局舎に係る不動産の貸付けをしていることからすると、営利法人との競合という点を勘案したとしても、本件局舎契約による不動産の貸付けに係る事業を収益事業から除外する実質的な理由はないといわざるを得ない。」と判示しています。

「この法令上原告しかすることとできないものとはされておらず」というのが、重要なポイントです。

つまり、「社会福祉事業」として

社会福祉法人しかできない事業であれば

極めて公共性が高く、

民間と競合する余地がないため、

法人税法施行令5条1項の「事業」には

該当しないと解されます。

つまりは、非収益事業です。

さて、こう考えたときに、

社会福祉協議会は、どのような

「社会福祉事業」を行っているのでしょうか?。

確かに、生活福祉貸付やファミリーサポート事業は

社会福祉事業ですので、

間違いなく非収益事業に該当します。

しかし、社会福祉協議会には、これだけではなく

社会福祉法にいう「社会福祉事業」ではない

福祉の要素が入った事業が

数多く存在することが一般的です。

なぜなら社会福祉協議会は、

地域の人びとが住み慣れたまちで

安心して生活するために

さまざまな活動をするのが目的であるため、

社会福祉法の外で多様な活動を

していることが殆どです。

それら多くのサービスについて、

収益事業だと税務署に

言われない対策をしていますか?

ここまで読んでいただいた、

社会福祉協議会の皆様。

法人税法上、公益法人等に該当するNPO法人について

ボランティア活動が収益事業とされた裁判例

(千葉地裁平成16年4月2日判決)

ホームレス復帰支援事業が不動産賃貸業

とされた裁判例(東京地裁平成28年3月29日判決)

をご存じでしょうか??

一般的な感覚で考えると、

ホームレス復帰支援事業が

収益事業に該当するわけないなんて

思うかもしれませんが

現実はそんなことはありません。

かっちり課税されています。

自販機だけが収益事業ではないのです!

社会福祉協議会だから大丈夫!

それは、全く根拠のない自信です。

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