初詣と収益事業課税制度

明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

みなさん楽しいお正月を過ごされましたか?

私は、元旦は深夜1時半まで仕事、

専門書を5冊読破と仕事ばかりのお正月でした。

そんな中でも、初詣に行ってきました。

すると・・・

お賽銭を投げるエリアに

アルバイトと思しき方々が6名ほどいまして、

「早くしないと集めるの終わらないぞ~」などど

お賽銭集めをせかされ、

バリバリ働いていらっしゃいました。

そう、初詣は、神社にとって、稼ぎ時なのです。

おみくじや新年祈祷など、大忙しです。

お正月で年間の収益の大半を稼ぎ出すのでは

ないでしょうか???

宗教法人は、法人税法上、収益事業のみ、

課税されることとなっています(法人税法7条)。

この収益事業該当性を争った一番有名な裁判例は、ペット葬祭業事件(最判平成20年9月12日判決)です。

ペット葬祭業事件は、宗教法人の行う、ペットの葬儀、供養等を行う事業について、収益事業該当性判断が争われた事案になります。

ペット葬祭業事件判決では、

「法人税法が,公益法人等の所得のうち収益事業から生じた所得について,同種の事業を行うその他の内国法人との競争条件の平等を図り,課税の公平を確保するなどの観点からこれを課税の対象としていることにかんがみれば,宗教法人の行う上記のような形態を有する事業が法人税法施行令5条1項10号の請負業等に該当するか否かについては,事業に伴う財貨の移転が役務等の対価の支払として行われる性質のものか,それとも役務等の対価でなく喜捨等の性格を有するものか,また,当該事業が宗教法人以外の法人の一般的に行う事業と競合するものか否か等の観点を踏まえた上で,当該事業の目的,内容,態様等の諸事情を社会通念に照らして総合的に検討して判断するのが相当である。」と判断基準が判示されました。

そして、

「本件ペット葬祭業においては,上告人の提供する役務等に対して料金表等により一定の金額が定められ,依頼者がその金額を支払っているものとみられる。したがって,これらに伴う金員の移転は,上告人の提供する役務等の対価の支払として行われる性質のものとみるのが相当であり,依頼者において宗教法人が行う葬儀等について宗教行為としての意味を感じて金員の支払をしていたとしても,いわゆる喜捨等の性格を有するものということはできない。また,本件ペット葬祭業は,その目的,内容,料金の定め方、周知方法等の諸点において,宗教法人以外の法人が一般的に行う同種の事業と基本的に異なるものではなく,これらの事業と競合するものといわざるを得ない。」と結論付けられています。

ちなみに、収益事業該当性判断を行う

他の裁判例では 「イコール・フッティング」

による判断も良く見られます。

これは、その事業が

「民間事業と競合するか否か」により、

収益事業該当性を判断するものです。

これらの判断基準を見て

皆さんどうお考えでしょうか?

極めて曖昧ですよね??

価格表があって、金銭の支払いがあれば、

課税ということを考えると

公益法人等においては、

あらゆる行為が、課税される可能性があります。

また、民間との競合可能性という基準も

大体のことは、どこかの企業は、やっており

その基準は非常に曖昧です。

ちなみに、私は、

収益事業の判断基準のラインは、

公益法人一律ではなく、

法人種別によって異なると考えています。

※興味がある方は、「法人税法における公益法人等の収益事業課税について」という論文を書いていますので、ご覧ください。

特に、最近NPO法人において

課税庁によって収益事業という認定をされ争い、

納税者敗訴という事案が目立ちます。

ちなみに、私にご相談いただいている案件でも

相談者の方は、一般社団法人の事業が

非課税事業だと思い込んでいたのに

実は課税事業だったなんていうこともあります。

多くの方は、公益法人等は、

非課税と思っていますが

正しくは、非収益事業は課税されないと

いうことです。

そして、その判断はとても難しい・・・

公益法人のみなさんは、3月決算に向けて

今一度、申告内容の確認をお勧めいたします。

法人税がかからないと思い込んでいたのに

突然課税されると、大変なダメージです。

特に社会福祉協議会は要注意です!!

経理サポート会計事務所で一緒に働きたい方、業務を依頼したい方、その他当事務所と接点を持ちたい方、是非ご連絡ください。