脱税、租税回避、申告漏れ、所得隠しの違い

チュートリアル徳井さんの事件以来、

税金が世間の注目を集めることが多いためか、

最近、「脱税」「租税回避」

「申告漏れ」「所得隠し」はなにが違うの??

という質問を良く受けます。

これ、チュートリアル徳井さんの事件以後

テレビやネット記事の解説を見るために

これって違うかな??なんて思って

モヤモヤしていたんですよね

友人の税理士と話していて

やっぱり違うでしょ、この際だから解説して~

と要望が出たので、違いを説明します。

まず、脱税と租税回避です。

この2つは、税法(租税法)において

使用される用語になります。

脱税が、課税要件の充足の事実を全部または一部を秘匿する行為であるのに対し、租税回避は、課税要件の充足のみを回避する行為である(租税法・金子)とされます

脱税は、分かりやすいですが、

租税回避が難しいです。

「節税は税法規が、予定しているところに従って、税負担の減少を図る行為であるのに対し、租税回避は、予定していない異常な法形式を用いて税負担の減少を図る行為である。もっとも、租税回避と節税の境界は明確でなく、結局は社会通念に従って決めざるを得ない」と金子教授は説明されます。

つまり、ざっくりいうと、「節税」はルールの中で、税負担の減少を図る行為である一方、「租税回避」は、裏技を使って、税負担の減少を図る行為なんですよね。

つまり、「租税回避」は合法なんですよ。

では、なぜ、数年前に、パナマ文書報道で、あれだけ批判が出たのか?

それは、税金というのは、民主主義国家を支える根幹であるのにも関わらず、国家を代表する政界・財界のメンバーが、裏技を使って、税負担を少なくしていた訳です。自分でルールを作っておいて、自分は、裏技を使って逃れるのはけしからん!!という訳です。

このように、脱税、租税回避、節税は、税法用語なので、租税法学者の間で議論がされており、定義づけられるものです。

一方「申告漏れ」、「所得隠し」はどうか?

これらは、租税法の言葉ではなくて

ただの話し言葉なんですよね。

定義がありませんし、そのような議論にはなりません。

なので、「所得隠し」は、国税通則法68条に規定する

「仮装」「隠蔽」をしているという雰囲気はあるものの

もともと、税法用語でもなんでもないので

話す人によって、そのニュアンスが違う訳です。

なので、この2つは、ざっくりいうと

計算間違いか、悪いことをしているかという話している人の感覚の違いになります。

「脱税」「租税回避」「申告漏れ」「所得隠し」

を見てきましたが、

私の一番の違和感は、もともと比較しようがない

専門用語と一般用語を比較して

ネットに表など掲載されていることです。

では、何でこんな表が大量掲載されるのか??

それは、どこかの専門家が説明した

言葉の一部を切り取ったり、

そもそも、その内容の真偽を

確認していないからないんでしょうね。

また、ネットに掲載されている表を、

そのまま意味も考えず

コピペをするから

良く分からないものが

拡散するのではないでしょうか??

一流どころのメディアにも

この表が載っていますから、

目も当てられません。

誤った用法でも

掲載が100年続けば

日本語として正しくなってしまいかねません・・・

(そんな訳ない笑)

すっと私は、部下たちに

人の言うことは信じるな

自分で調べて目で見たものだけを信じろ

ネット記事は当てにするな

と口癖のように言っているのですが・・・

きちんとした仕事をするには、

確実な情報ソースの確認が必要だと

強く感じた一件でした。

経理サポート会計事務所で一緒に働きたい方、業務を依頼したい方、その他当事務所と接点を持ちたい方、是非ご連絡ください。