最近、生命保険の営業マンの方から
養老保険の福利厚生プランについて
1/2損金算入が可能か?
多数の質問を頂いています。
損金算入割合が高い生命保険が
販売停止になっているので
養老保険が売れているようです。
今回、青山税法研究会にて発表することもあり
養老保険の支払保険料について調べてみました。
調べるとたくさんの国税不服審判所裁決の
事例があることが分かりました。
・国税不服審判所平成8年7月4日採決(TAINZ F0-2-055)
・同平成8年7月4日採決(TAINZ F0-2-054)
・同平成8年7月4日採決(TAINZ F0-2-054)
・同平成8年6月26日採決(TAINZ F0-2-053)
・同平成8年6月25日採決(TAINZ F0-2-031)
これらほぼほぼ事案の概要が共通しております。
以前流行ったスキームなんでしょうね。
共通する前提
・保険契約の署名は、保険会社の社員が代行した。
・従業員の一部しか保険契約している認識はない。
・保険契約のために銀行借り入れし、短期間で解約する予定の資料を示したうえで、解約申込書を銀行に預け入れている。
・退職金規程などはない。
・契約後に入社した社員は一律加入
・保険金額が極めて高額
これらの採決事例すべて納税者が勝訴しています。
一連の採決事例を確認すると法人税法における支払保険料の損金算入については、納税者と保険会社との間に契約が有効に成立しているのであれば、養老保険は、生死混合保険であることから、一種の福利厚生の目的・性格と資産投資の目的・性格との二面性を必然的に併せて有しているため、課税の繰り延べの意図があったとしても、納税者側に福利厚生の目的が全くないとは言えないため、支払保険料の損金性を否定するのは、難しいのではないかと思われます。
一方、個人事業者の養老保険の必要経費算入ではどうか?
広島高裁平成28年4月20日判決税資266号順号12846では、「本件各養老保険契約が被保険者を従業員とし、死亡保険金の受取人を従業員の家族としているために福利厚生費の性質を帯びていることを考慮しても、支払保険料全体が家事関連費に該当するというほかないし、危険保険料負担部分が本件各養老保険料の2分の1であると認めることができないばかりか、当該支払保険料の中で業務の遂行上必要な部分として明らかに区分することができるとは認められない。」として、納税者の主張を退けています。
法人と個人事業者では、
判断される法的根拠が異なります。
個人事業者の方が、福利厚生費と事実認定されるのは、ハードルが高いということのようです。
※ご興味がある方は、添付の青山税法研究会発表資料をダウンロードしてください。
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