チュートリアル徳井さんの課税処分の話が
話題になっていますが、
本日は、争った場合に重加算税が課されるか、
について考えてみました。
無申告で重加算ってあるの??
報道によれば、過去7年にわたり
重加算税が課せられたということですが
期間を通じて申告・納付自体を
していなかったとのことです。
今回は、徳井さんが重加算税を
受け入れたとということですが
もし、課税庁と争った場合に
「ずっと忘れていました~」ということに対して
重加算税が課せられるのでしょうか?
※所得隠しという報道もあり、情報が錯綜してますので、今回は、その論点抜きで、無申告で重加算はあるのかという議論です。
重加算税とは、
納付すべき税額の計算の基礎となる事実の全部または一部について隠ぺいまたは仮装があり、過少申告・無申告または不納付がその隠ぺいまたは仮装に基づいている場合には、過少申告加算税・無申告加算税または不納付加算税の代わりに、重加算税と呼ばれる特別に重い負担が課せられまたは徴収される(租税法・金子)ものです。
税法は、憲法に定める財産権の侵害規範なので
課税処分には、法的要件が必要になります。
したがって、今回の案件の問題は、
重加算税の課すためには、
「隠ぺいまたは仮装」の存在が必要であり、
「だらしなく、ルーズで無申告」である場合、
どの行為が「隠ぺい」「仮装」ということができるか?
ということが必要になるということです。
「怪しからんので処分!」ということはできないのです。
調べたら思いのほか、
すぐに判明しました。
以下は、平成23年6月3日裁決引用です。
「通則法第68条第2項に規定する重加算税の制度は、隠ぺい、仮装という不正手段を用いて期限内申告書を提出しなかった場合に、無申告加算税よりも重い行政上の制裁を科することによって、悪質な納税義務違反の発生を防止し、もって申告納税制度による適正な徴税の実現を確保しようとするものである。
したがって、重加算税を課するためには、納税者による期限内申告書の提出がされなかったこと(無申告行為)そのものとは別に、隠ぺい、仮装と評価すべき行為が存在し、これに合わせた無申告行為を要するものである。
しかし、上記の重加算税制度の趣旨にかんがみれば、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在したことまで必要であると解するのは相当でなく、納税者が、当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかった場合には、重加算税の賦課要件が満たされるものと解するのが相当である。」
つまり、重加算税の趣旨から、隠ぺい、仮装という行為の存在(主要事実)までは必要なく、納税者の、申告しない意思が伺い得る行動(間接事実)をもって、賦課要件を満たすことと解されるということなんですね。
ちなみに、最判二小平成7年4月28日(民集49巻4号1193頁)でも「請求人には積極的な隠ぺい又は仮装行為は認められないが、上記ロのとおり、積極的な隠ぺい又は仮装の行為が存在しない場合であっても、納税者が、当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかった場合には、重加算税の賦課要件が満たされるものと解するのが相当である。」としています。
結論としては、長期間
期間を通じて申告・納付していないのが事実だとすると
争っても重加算税が課されるのは、
避けられないのではないでしょうか?
とは、言っても国税局がリークすることはないので、
どの期間、どの行為にに対して
重加算税が付加されたのかは
誰にも分らないことですが・・・
しかしながら、徳井さんは残念でした。
通常の会社は、悪質な税務問題は完全にアウトです。
特に法人取引の場合には、一気に信用を失い、
取引先は離れて倒産です。
日本の場合にはこういう問題に非常に厳しいです。
日本の会社は、一定の規模の企業になればなるほど
取引先、従業員その他事業関係者に
法令順守をしていない企業と烙印を押されないために
税法を守っているという側面もあるように思います。
経理サポート会計事務所で一緒に働きたい方、業務を依頼したい方、その他当事務所と接点を持ちたい方、是非ご連絡ください。