今日は、なぜ後継者未定の開業医は、
医療法人を畳んで個人事業にすることを考えるべきなのか
解説します。
理由1
日本医師会の調査によると、
開業医の手取り額は、65歳以上になると、
55-59歳の時の約半分になってきます。
年を重ねれば重ねるほど、減っていくことになります。
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診療所開設者の年収に関する調査・分析(2006 年分)-日本医師会 診療所に関する緊急調査-
もともと医療法人化したのは、
①所得の分散による所得税の節税
②退職金の支給
の2点が目的であったはずです。
所得税の分散効果は、
多額の所得があってこそ、
法人にしたことで効果が出る訳ですから、
手取り額が減少していくのであれば、
個人事業にする不利益はありません。
理由2
医療法人の理事長を退職することにより、
個人は、多額の退職金を得ることができるため、
相続税対策、争族対策を行うことが可能になります。
理由3
開業医が引退を見据えた場合、
一番金銭的に良いのは、
事業を第三者の医師に譲渡することです。
買い手は、基本的には、
先生の患者を引き継ぎたいと思っており、
法人そのものを引き継ぎたい訳ではないのです。
もし、子供が後を継ぐという話になったとした場合、
そこから法人にしても遅くはありません。
個人事業にする不利益は特段ありません。
理由4
クリニックを個人事業にしてしまうことで、
いつ退職するかという悩みから解放されます。
税務上、適正退職金という考え方があり、
月額報酬×理事である年数×功績倍率で計算されます。
この適正退職金を超える金額を支給した場合、
その超えた金額について、
法人税法上、税金計算上の費用に算入されず、
不利な取り扱いとなります。
具体的には、医療法人の売上が少なくなって、
役員報酬が減ってくるほど、
不利な状況になるということなのです。
いかがでしょうか?
このように後継ぎが不明な開業医の場合は、
個人事業にする方が得策で
法人のままでいるのは、
売り上げの減少が確実な状況の中、
リスクがあります。
後継ぎ問題をいったん棚上げし、
個人事業にするというのが、
現実問題として最善なことが多いのです。
そうなると・・・
開業医の先生が60歳を過ぎたら
いつ、どのようなタイミングで個人事業にして
そのような手法で、退職のタイミングにおいて、
個人の利益を最大化していくか
考えないといけません。
当然、作戦を立てる上での相談相手は、会計事務所です。
なので、決算のタイミングで
「売上下がっていますから役員報酬下げましょう」
しか言わない(言えない)会計事務所とは、
絶対付き合ってはいけないのです。
経理サポート会計事務所で一緒に働きたい方、業務を依頼したい方、その他当事務所と接点を持ちたい方、是非ご連絡ください。