今日は、医療法人を継いだ先生の悲しい話を。
開業医の先生は、どうしてこんなことが起こってしまったか、考えて読んでいただければと思います。
D先生は、親の医療法人を継いだ開業医で、
妹が一人います。
両親が亡くなってから、10年後に、急に妹から、「法定相続分が2分の1あるから医療法人の財産の半分を管理を渡してほしい」と言ってきたのです。
確かに医療法人の口座には多額の資金がありますが、これは無駄にたまっているわけではなく、事業の継続に必要な、職員への給与支払いに充てたり、医療機器のリニューアルや、建物のメンテナンスに充てるためのものであり、D先生は、きっぱりと断りました。
すると妹は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てたのです。
調停委員からは、兄弟それぞれ同等の相続権が認められること、妹にも医療法人の相続権があることを指摘されました。
D先生は、いまさら遺産分割協議を求められることに納得がいきませんでしたが、民法では遺産分割協議に期限を設けていません。
調停では、医療法人を保有するためには、その価値の半分の代償金を妹に支払わなければいけないと言われました。
D先生は、診療で忙しい毎日を送っていたのですが、妹との争いに仕事どころではありません。
精神的にもストレスになるし、仕事の時間は取られるし、
とてもじゃないですが、仕事に集中する時間などなくなってしまいました。
事件が起こる前は、毎日80人ほどの患者の診療をしていましたが、妹と争うようになってから、仕事に支障をきたし、毎日の患者数が半分位に落ちてしまっています。
こちらは、少し加工してありますが、
現在進行形で起こっている実際の話です。
D先生は、あまりにも可哀そうですよね。
こういうことが起こった原因はなんでしょうか?
最大の原因は、D先生のご両親が、
「うちの家は兄弟仲が良いから相続で揉めたりしない」
「うちの家は財産なんてほとんどないから揉めない」
「うちの家は兄弟で話し合うのが面倒だから先送りしよう」
と考えて
何もしないで亡くなったからなんです。
確かに小さい頃は兄弟仲は良いかもしれませんが
相続の問題となる頃には配偶者がいて
この問題に口を出したりして
混沌とした状況になっています。
よろしいでしょうか?
親の段階で、すでにややこしい話を
子供に丸投げして絶対に収まる訳ないんです。
子供が揉めるときに、話をうまく収められる親は
すでに亡くなってしまっているわけですから・・・
時々、僕が死んだ後のことは知らないよ~
と仰る先生がいますが、
それ、子供の人生狂いますよ!
兄弟間で相続問題で争いが起きたら
精神的にもストレスだし、時間は取られるし、
裁判に負けたら、家も仕事も失うかもしれません。
普通の生活ではなくなります。
では、開業医が、いつそれを考えるかということですが
引退を考え始めたとき
からになります。
なぜなら、
クリニックの場合には引退を見据えたとき、
夫婦の生活資金を確保するという観点だけでなく、
クリニックや患者さんを承継するかどうかの点が、
セットになってきます。
さらには、承継するか否かが、相続対策(争族対策)に連動します。
しつこいですが、忘れないでください!
前回もブログに書きましたが
開業医が60歳を超えたタイミングから
このような問題を回避するために
頼りになるのは、こういった問題を解決できる
会計事務所だけなのです。
決算の打ち合わせで、会計事務所から
「売上が下がってきていますから、とりあえず役員報酬下げましょうか」
「昨年から〇〇円売上が減少していますね」
などと言われているだけであれば、大変なことです。
そんな分かり切った話、時間の無駄です。
だったら飲み屋でお酒でも飲んで
与太話してた方がよくないですか?
開業医の先生が幸せな引退生活を送るためにも
良い税理士・良い会計事務所と出会うことを祈っています。
経理サポート会計事務所で一緒に働きたい方、業務を依頼したい方、その他当事務所と接点を持ちたい方、是非ご連絡ください。