本日は、名古屋地判平成5年3月24日採決(訴月40巻2号411頁)から、
生前の公正証書による贈与が、租税負担を回避するためのものであり、実態は遺贈である旨認定された事例について紹介します。
事案の該当は、ざっとこんな感じ。
・被相続人から子や孫に贈与した不動産は公正証書による贈与契約がされている。
・その不動産の所有権移転登記をしていない
・不動産の固定資産税や修繕費、火災保険料などは、子や孫が負担。
・被相続人が死亡の際、すでに公正証書により譲受、引き渡しも完了しているから、本件不動産は、被相続人の遺産ではないと主張
想像するとこんな感じなんじゃないでしょうか。
たくさんの財産が有るので、相続税が心配。
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贈与税の時効は6年(偽りその他不正の場合は、7年)なので、こっそり贈与して、時効を待つ作戦でいこう。
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贈与した証拠として、贈与契約を公正証書にする。
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登記すると税務署にばれると聞いたので、登記はやめておこう。
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相続発生して、税務署調査で、「生前に贈与されたので、相続財産ではありません」という
名古屋地裁は、相続税の課税を回避するため、即時に贈与したかの如き条項にしたものが認めるのが相当として、相続税の課税財産に含まれるというべきとしました。
アグレッシブな方ですね。
税理士がついていたのではないかと思うのですが、
止めなかったんでしょうか??
ひょっとして生半可な知識で、
「法形式を整えれば問題ない」
そう思って進めてしまったのかもしれません。
一言でいうと
税法は、法的実質で判断されるものなので、法的形式ではありません。
また、税理士でも勘違いしている人がいますが、経済的実質でもありません。
真の法律関係がどこにあるのかが、問われます。
なので、納得できるストーリーが必要です。
何のための取引ですか?と言われ
節税です!と答えるのは
国家に対する無謀な挑戦です。
安易な租税回避は深い傷を負います。
税額が高額で不安を感じる場合には
是非、信頼できる専門家にご相談ください。
経理サポート会計事務所で一緒に働きたい方、業務を依頼したい方、その他当事務所と接点を持ちたい方、是非ご連絡ください。